発売当初からいろいろと騒がれていたパルワールドだが、ついに訴えられたらしい。ただ、訴訟の内容は特許の侵害であって、著作権の侵害ではないことに注意が必要だ。「どう見てもポケモンのパクリだから」ということは問題にされていない。
で、一体どんな特許を侵害したのかというと、それはまだ不明だ。訴訟の内容が明らかにされていない。ただ、もしかすると、問題にするほどのことかと首をひねるような内容かもしれない。
ゲームの特許というのはいろいろとあるらしく、そもそもその技術を使わなかったらゲームなんか作れないじゃないか、みたいな特許もある。そういうのは大手企業が、他者に取られて訴えられないようにするために、自衛を目的として取得していると言われている。
そういった様々な特許侵害については、ぶっちゃけ、多くのゲームがしているのではないかという話がある。厳密には、裁判にかけられてないことについては断定できないのだが、侵害自体は横行しているし、大手のゲームでも侵害しているそうだ。ただ、大手同士で訴訟合戦しても無意味だし、小さな会社を攻撃してもゲーム業界自体が縮小してしまう。
よって基本的には、そういう「単なる特許侵害」を訴えることはない。
ではもしも、今回の訴訟がそういった単なる特許侵害であったとすれば、なぜ任天堂は訴えたのか? ということが問題になる。
結論から言えば、たぶん「パルワールドが気に入らなかった」のではないかということになる。まぁ、法律論をよそにおいておけば、たしかにどう見てもポケモンのパクリだよね、という感想は出て来ざるを得ない。
それでも、著作権の侵害というのはそう簡単に認められるものではないし、過去に任天堂がティアリングサーガを著作権侵害と不正競争防止法違反で訴えた際にも、著作権侵害は一切認められなかった。
それを考えると、おそらくパルワールドは著作権侵害という法律上の観点から言えば、何ら不正を犯しているとはみなされないだろう。
しかし。である。
それは法律上の観点であって、倫理的道義的常識的観点から出てくる答えではない。素朴な感想を言えば、どう見てもパクリだ。それに対して「でも法律上は問題ないですから。法律が許してるんだから、文句言われる筋合いないっすよ」という態度をとるのであれば、任天度もまた全く同じように「法律が許すんなら何してもいいんやろ? じゃあこっちもそうするわ」ということで、法律上の特許権を持ち出して訴訟を起こしたとして、一体何が問題になるだろうか?
法律がすべて。法律が許せば何でも許される。
という態度をとったのは、パルワールドが先だ。おそらくは、その態度が気に食わなかったのではないか、という気がする。任天堂は山内社長時代、スクウェアとけんかしていたことがある。一説によればスクウェアが任天堂を捨ててプレイステーションに移ったことを怒ったとも言われているが、本人がそれを否定しているし、それは事実だろうと思う。
実際、エニックスもプレイステーションに移ったが、エニックスと任天堂はけんかしなかった。エニックスは任天堂に対して筋を通し「世話になった会社の年末商戦を妨害することはできない」というような対応を取っていた。
一方でスクウェアは新しい流通を打ち立てる会議において、任天堂のビジネスモデルを批判するようなことを言い、黙って立ち去るどころか、後足で砂をかける所業を行ったようだ。おそらくはこれが山内社長の逆鱗に触れたのだろう。
それが山内社長個人の性格なのか、任天堂の性格なのかは分からないが、筋の通らないことが許せねえという部分が引き継がれていても不思議はあるまい。
内容が分からないのではっきり言えないが、おそらく特許侵害自体は認められるのではないかという気はする。ただ、だとしてもパルワールドが何か悪いことをしたのかは疑問だ。
特許を侵害することそのものが悪いに決まっている、というのであれば、訴訟を起こされていないほかのゲームも、特許を侵害する部分があったならば、同じくらい悪いことをしていることを認めねばならない。
しかし、すでに書いたように、大体どのゲームだってどっかの会社の何かの特許は侵害しているものなんじゃないか。特許を一つも侵害せずに大きなゲームって作れるものなんだろうか?
とすれば、特許を侵害したこと自体をそれほど強く非難することはできない。ではパルワールドは何が悪かったのか?
態度意外に、何か悪いものがあったのだろうか。
まぁ、実際のところは侵害したという特許の内容を見てみないことにはわからない。ああ、確かにその特許は侵害しなくてもゲーム制作自体には支障ないよね、と言えるような特許かもしれない。その場合はまた話が違ってくる。
出来ればそういう特許であってほしい。
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