2018年10月12日金曜日

将棋倶楽部24に見る、レーティングデフレの二つの意味と原因


久しぶりにDotaをやってはみたものの、なんかさっぱり勝てない。前よりうまくなった感じはするがちっとも勝てないので、個人プレイが出来る分マシだろうと言うことで、将棋を再開した。ずっと将皇将棋をプレイしてきたが、K将棋の最新版をもらってきた。

前のバージョンでは一番弱いはずの初級でもほっとんど勝てなかったが、さすがに30段階もLvが用意されていれば、下の方には勝てるようだ。今のところ10Lvあたりで勝ち負けになっている。

さて、そろそろネット対戦にも手を出すかどうか悩みつつ、将棋倶楽部24に登録しようかどうか考えている。しかし24はなにしろレベルが高く、低級でもクソ強いと評判だ。やっぱり尻込みしてしまう。

相当な程度にレーティングがデフレしているらしい。そこで、今回はレーティングはどうしてデフレするのか。レーティングのデフレとはどういうものなのかを書いてみたい。

レーティングデフレの二つの意味


レーティングのデフレには二種類ある。

1,実力に変動がないプレイヤーのレーティングが減少すること
2,登録者達の平均レーティングが減少すること

1と2は違う現象であり、原因も別にある。ただし、平均レーティングが減少すれば、各プレイヤーのレーティングも減少しやすいので、相互の影響がないわけではない。

またこの記事では、「平均レーティング」という言葉を、「アクティブプレイヤーの平均レーティング」の意味で用いることとする。アクティブプレイヤーとは、最近でも活動しているプレイヤーのことだ。最近というのがいつまでなのかは厳密に定義しないが、ずっとログインしていないプレイヤーや、アカウントを停止されたプレイヤーは含めないものとする。

1,弱くなってないはずなのにレーティングが下がるデフレ


レーティングは、勝者には加算され、敗者からは減点される。その変化量は、原則的に同等だ。加算される点数と減点される点数は同じとされている。

つまり、レーティングが下がるということは、以前よりも勝てなくなるということだ。自分が弱くなっていないのにどうして勝てなくなるかといえば、相手が強くなっているからということが考えられる。

厳密には、ちょっと違う。レーティングが離れていれば、変化するレーティング量が増加する。レーティングがだいぶ上の相手に勝てばたくさんポイントをもらえるし、だいぶ下の相手に負ければポイントをたくさん失う。

より正確に表現すれば、「相手が強くなっているから」、ではなく、「相手が、以前のレーティング相応よりも強くなっているから」になる。つまり、他のプレイヤーが、弱くなっていないはずなのにレーティングが下がったから、自分もそれに巻き込まれている形だ。デフレスパイラルと言ってもいい。

このような現象はどういうときに発生するかと言えば、参加者達の平均レベルが上がったときだ。レーティングというのは相対評価でしかない。100kgの重量を持ち上げられるかどうかと言うのは、実力の絶対評価だが、それで重量挙げ選手権の何位になれるかは相対評価だ。周りがみんな力持ちなら最下位にもなるし、力自慢がいなければ優勝できるかも知れない。

よって平均レベルが上がれば、自分の力が衰えていなくても順位は下がる。レーティングも下がる。強いやつが集まっていると評判の集まりなら、ある程度自信のある人じゃないと参加しづらいだろう。当然、純粋初心者の参加は少なくなる。つまり、カモがいなくなる。その結果、弱くならなくてもレーティングは下がる。

2,参加者達の平均レーティングが減少するデフレ


では、参加者達の平均レーティングはどういうときに減るだろうか。加点と減点が一緒なら、どれだけ勝ち負けを繰り返しても平均レーティングに変動はない。平均レーティングが変化するのは、プレイヤーがアクティブではなくなったときだ。

今までプレイしていた人が、もう将棋をプレイしなくなったとき、アクティブプレイヤーの平均レーティングに変化が生じる。だが、そのプレイヤーの持っていた点数が環境から消滅することで、デフレが起きるとは限らないことには注意しなければならない。

単純なモデルで考えてみる。将棋倶楽部24の登録プレイヤーが二人だけだったとしよう。二人とも、レーティングが1000から開始した場合、二人がどれだけ対戦を繰り返そうと、平均レーティングは1000のままだ。

そこに新しい参加者がやってきて、やはり1000のレーティングを与えられたとする。その人の勝率が低く、最初の二人のプレイヤーに200点ずつレーティングを奪われた場合、残りは600点だ。そこでその人は将棋をやめてしまい、非アクティブプレイヤーとなったとする。

残された二人の平均レートが1200であることが分かるだろうか。600点のレーティングが消えたことで、平均レートが減少するのではない。むしろ、奪われた400点分平均レートが上昇している。

なぜこうなるかと言えば、新規参加者に対して、1000点のレーティングを配布しているからだ。レーティングというのは、言わば賭け試合によってのみ所有権の移動する通貨のようなものだ。この通貨は新しい参加者が現れるときにだけ鋳造される。

そのプレイヤーが非アクティブとなるとき、最初に配布された以上のレーティングを持っていれば、残された環境の平均レートは減少するし、配布されたレーティングを維持できていなければ平均レートは上昇することになる。

よって、参加者の平均レートがデフレする理由は、初期配布よりもレーティングを稼いだ状態でプレイヤーが非アクティブとなるからということになる。

なぜそうなるかと言えば、実力よりも低いランクで登録するからだ。いきなり強い人と対戦しても全然勝てないし、と思えばいきなり上の方で登録したいとはあまり思わないだろう。よって配布されるレーティングが少なくなる。

だから、ほとんどのプレイヤーは初期配布よりもレーティングを稼いだ状態になっている。その差額は、直接・間接の違いはあれど、他のプレイヤーから奪取したものだ。よって、前項で書いたように、レーティング相応よりも強いプレイヤーが存在することで、他のプレイヤーのレーティングは下がることになる。

なぜ多くの人が実力よりも低めで登録するかと言えば、強いやつが集まっていると評判になっているからだ。ある程度の力がある人しか登録しない上、安全策をとって低めの階級で登録するということになれば、そりゃあデフレしないわけがない。

このデフレがいつ止まるかと言えば、それは、登録階級が適切になった場合だ。つまり、多くの人がとりあえず安全策をとって15級で登録したとしよう。何しろ10級より下に初段がいるとか言う話なのだから、15級で登録したくなるのは不思議ではない。

これが適切な階級になったとき、デフレが止まる。つまり、名実共に、24に登録しようと思う最低レベルの自信を持てるぐらいの力がある人たちが、15級から上がれなくなったときだ。今はまだ実際にはもうちょっと上に上がることが出来ているようなので、すこしずつデフレが進むだろうけど、安全策のつもりが実力通りでした、ということになれば、デフレは終わる。

まぁ、それはそれで魔境もいい所、という気はするし、最悪「プレイヤーが0になればデフレも止まる」みたいな考え方になってしまいそうではあるが。

1 件のコメント:

  1. あ、ちなみに、平均レートのデフレですが、他のプレイヤーへの影響とかを考えず、ただ、平均だけが下がるかどうかなら、「現在の平均レート未満のレーティングで新規登録する」だけで、平均は下がります。
    それだけだとデフレという話にはならないと思いますので触れませんでしたが、一応補足しておきます。

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