2023年2月8日水曜日

模倣犯に関する一考察

最近模倣犯が話題になっている。スシローでの迷惑動画に続き、カレー屋やらカラオケボックスやらでの迷惑行動が報道されている。

本日、山口県で落書きが見つかったが模倣犯を警戒してあえて発表しなかった、という記事を読んだ。

私は昔から不思議だった。なぜ模倣するのか? だって、模倣なんかするまでもなく、そういう行為が迷惑行為だということはわかるだろう? ならば誰かがそれを行うまで待たなくたって、それを行えばいいじゃないか(いや、だめだけど)。

以前からそれを行うことが可能だったにもかかわらず、話題になったとたん実行に移してしまう心理について語ってみよう。


迷惑行為はもっとたくさん起きてるだろう

実際のところ、様々な店舗での迷惑行為というのは、これまでももっとたくさん起きてきたのだろうと思う。そういう行為が悪いことで、怒られることで、場合によっては賠償問題に発展しかねないということはみんな分かっている。だからそれをするとしても、普通はみんな隠れてやる。

わざわざ悪いことを自分で撮影して、自分で公開するなどというバカげたことを、普通の人はやらない。悪ふざけまでは普通の人でもやるが、自分で公開するのは突出したバカだけだ。これはバイトテロの時にもみられた傾向だ。ああいったバイトの悪ふざけだって、実際はもっと昔からたくさん行われてきたのだろうと思う。だが、自分で証拠映像を公開するなんてことをしたのは、相当なバカだけだった。

どうやら彼らの行動の動機は、承認欲求のようだ。承認欲求を満たすために、人々の注目を浴びるために、将来に大きな傷を残すようなことでもしたくなったらしい。今回流行った、お店での迷惑行為動画の投稿も、おそらく動機は一緒だと思う。それ以外にはちょっと考えにくい。

しかしでは、なぜ今なのか? なぜ流行ってからやるのか? ブームに火をつけた最初の行為者というのは、模倣犯ではない。その後の人たちが模倣犯だ。なぜ彼らは模倣犯になった? なぜ火付け役にはならなかった? そういう行為をするタイプの人なのは間違いないのだから、なぜもっと早くやろうとはしなかったのだろうか?

それが今回のテーマだ。


同じ行為だからといって、同じように取り上げられるとは限らない

メディアが取り上げるニュースというのは、基準が固定されているわけではない。結構適当だ。ほかに面白そうな話題がなければ、小さなテーマでも取り上げるし、ほかにもっと重要な話題があれば、翁テーマでも見過ごされる。

つまり、ある種の行為がメディアに取り上げられるかどうかは、メディアのその時の雰囲気というものに左右される。承認欲求を満たしたいだけの人々とすれば、犯罪行為を、目立つこともできないのにやったってつまらないじゃないか、ということになる。

だが、今なら、同種の話題が出てきた今なら、同じようなことをすれば取り上げてもらえる可能性が高い。同じような問題が続けて起きたときのほうが、メディアとしても「最近はこのような傾向があります」というように話を煽ることができるのだから。

よって、模倣犯の立場から見ると、より確実に自分の行為をメディアに取り上げてもらえそうなタイミングが来てから実行するほうが、より確実に承認欲求を満たすことができる、自分の行為が話題になっている場面を見て優越感に浸ることができる、ということになる。

そうしてみると、模倣犯というのは、一応そのくらいの損得勘定はできるタイプの人だ、ということになりそうだ。火付け役というのは、なんというか、独創性があるというか、本気で損得勘定ができないタイプというか、本物のおかしな人なんだろう。

世の中、本物は偽物よりもずっと少ない。どんな分野でもそうだ。だから、世の中で言われるような「模倣犯を出さないために、発表しないほうがいい」というのはその通りなのかもしれないと思った。

私は今まで、模倣の形じゃなくても、そういうことは誰でも可能なのだから、発表しようがしまいがする人間はするししない人間はしないだろう、と考えてきた。しかしどうやら、私は世の人々の承認欲求の強さを測り間違えていたのかもしれない。さもなければ、バイトテロなんて起きないはずなのだから。

発表さえしなければ、自分の行為が高確率で取り上げてもらえるという保証が得られなければ、偽物たちは実行には移さないはずだ。本物しかしでかさないなら、実行件数は大幅に抑制できるはず。

そして発表をしてしまった場合、話題にしてしまった場合には、もう徹底的にぶちのめすしかない。承認欲求が満たされることと引き換えにするには割に合わないほどリスクのある行為だと、社会全体に知らしめねばならない。さもなければ偽物たちの模倣を押しとどめることができなくなるだろう。

放っておけば、社会が飽きるまで、類似形が多くなりすぎて話題にしてもらえなくなるまで増殖してしまう。

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