2022年3月16日水曜日

ロシアを常任理事国から追い出すことの無意味さ

ロシアがウクライナを侵略したことにたいして、国連は決定的な対策を打てずにいる。ロシアが安全保障理事会の常任理事国であり、拒否権を持っているためだ。これに不満を持つ人々が、ロシアが常任理事国なのはおかしいとか、やめさせろ、と言ったりする。

が、いくら危ない奴らでも、気に入らない奴らでも、ロシアも中国も常任理事国にしておいた方がいい理由がある。今回はこの辺を語ってみる。


もしもロシアに拒否権を認めなかったら

ロシア、あるいはソ連を安保理の常任理事国にしないと言うことは、彼らに拒否権を認めないということになる。そうすれば、今回のような争乱が起きても国連の議決が拒否されず、国連の決定によってロシアに命ずることができる。だから、ロシアが常任理事国でなければ問題はすぐに解決したはずだ、などという話にはならない。

そのときロシアは、そもそも国連に参加しないだろう。ロシアが国連に参加するのも、中国が国連に参加するのも、その方が自分たちにとって得になると思っているからだ。アメリカ・イギリス・フランスの決定に盲目的に服従しなければならないような枠組みなら、彼らは初めから参加しない。

と言うことは、ロシアにしろ中国にしろ、自分たちで中小国をまとめ上げてもう一つの国連を作ることになる。まさしく東西の勢力分割だ。敵対勢力同士がお互いに同盟を作り上げて対立することになる。いつぶつかるか分からない。

紛争地帯は各地にある。それに対してもアメリカが軍を送り、ロシアが兵器を供給したりと、代理戦争の様相を呈したりすることがある。それでも現状は、アメリカもロシアも国連という一つの機関の一員だから、表面上は対立していないそぶりができるし、親ロシアの紛争地帯もロシアに対して西側との対立の明確化を求めたりはできない。

が、二つの国際軍事組織に分かれてしまえば、そうはいかない。自分たちの同盟に属する地域に対する影響力を守るためには、対立勢力との戦いに積極的に関与せざるをえなくなる。つまり、地域紛争が大国間の直接の戦争にエスカレートしやすくなる。

ロシアや中国なども納得のいく形で国際機関が運営されるということは、ロシアや中国を加盟国につなぎ止めるための条件であり、それは大きな戦争勃発の危険性を大幅に抑制することができる。


大国の戦争を不可能にする機関は存在しえない

ロシアが常任理事国であることに不満を持っている人たちというのは、大国が参加する戦争であっても、それを解決できるような機関を求めているのだろう。が、そんなものはあり得ない。

それがどんな機関であろうとも、自国に不都合なことを一方的に指図されるのであれば加盟しない。そんな干渉を受けるくらいなら、別な機関を立ち上げる。対立勢力を立ち上げられるほどの国でなければ、圧迫に負けて従ってくれるだろうが、大国には通じない。

どのみちいかなる機関を作ろうとも、「はい、この機関で議決が取れたから戦争やめてね」といって戦争をやめさせることなど保証されないのだから、そのような不可能なことが実現できないという理由で現在の国連の状態を非難するのは筋違いだ。

ロシアや中国を常任理事国から外した方がいいと言っている人たちは、国際紛争が激化する可能性を理解しているのだろうか。

1 件のコメント:

  1. 自分も同じように考えています。
    コメントゼロ件ですし、(まるで独り言)
    自分の考えを言おうと思うのですが、民主主義や、共産主義のどちらかを支持する立場だったとしても、「どちらかからの面しか見ない考え方」はいけないと思います。
    そして、どちらの立場でもない所から見てみた所、ロシアの戦争だけではなく、経済などの面でもなにかひと波乱あるのではないかと。
    そうですね、現に民主主義国家なんて幾つありますか?
    数えるほどしかないではありませんか。
    ただし、ここでそれを語っても仕方がない、という事だけは変わりそうにありません。
    反論もあると思いますが、書ききれないのでここまでにさせてもらいます。
    このコメントが届きますように。

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