2020年1月5日日曜日

バトルロイヤル系の対戦ゲームにおける、順位の価値について


対戦ゲームにもいろいろある。2チームに分かれて対戦するものもあれば、3以上のチーム、個人に別れて他者と手を組んだり敵対しながら進めるゲームもある。

今回はこういった、3以上の勢力に別れて戦うゲームにおける、順位の価値について語ってみたい。

そういうゲームをここではバトルロイヤル系ゲームと呼ぶことにするが、どちらかというと、私が念頭に置いているのはFPS系統のゲームではなく、CivEUなどのSLGである。


2番じゃだめなんですか?


当たり前のことではあるが、参加者が目指すのは一位になることだ。スコアなり、生存時間なり、そのゲームで定めている分かりやすい勝利条件の指標において、もっとも高い成績を上げることを目指すのは当然だ。

問題になるのは、2位に価値を認めるか認めないかだ。すなわち、バトルロイヤルゲームには二つの価値判断があり得る。

A1位だけに価値があり、それ以外は2位でも100位でも、同等の価値しかない
B1位が最も価値があり、2位がそれに続き、3位がそれに続きと、順位が高ければ高いほど価値が高い

感覚的に考えれば、たいていの場合はBタイプの考え方が多いだろう。2位と100位なら、2位になることを望むのが人情というものだ。だが、それを無意味と考える人々もいる。

そこで、AタイプとBタイプの価値判断で、何がどう違ってくるのかを考えてみよう。

1位にしか価値がないとすれば


まずAタイプ、1位にしか価値を認めない場合から見てみよう。この場合、全てのプレイヤーは、1位になることを目指し、1位になれないなら2位でもビリでも一緒だと考える。

仮に、AからEまでの5人のプレイヤーがCiv5などの戦略SLGで対戦しているとしよう。このときある局面でのスコアがABCDEの順だったとしよう。A1位にいて、B2位にいるということだ。

そしてプレイヤーDEはスコアで大きく離されており、とうてい1位争いには絡めない位置にいるものと仮定する。

さて、この場合どこかで2位のプレイヤーは1位のプレイヤーを追い落とすために攻撃を仕掛けることが考えられる。3位のプレイヤーも、それに続くかも知れない。だが、4位や5位のプレイヤーはどうだろうか?

人によっては、「全プレイヤーが1位を目指してプレイするべきなのだから、1位のプレイヤーを追い落とすためには最下位のプレイヤーも力を合わせるべきだ」と主張する。だが、本当にそうだろうか?

45位のプレイヤーが1位に対する包囲網に参加し、首尾よくそれを追い落としたとしても、それで自分が1位になれるものだろうか?

ほとんどの場合、それでは結局1位がすげ変わるだけで、45位から1位に躍り出られるわけではない。だとしたら、45位のプレイヤーからすれば何も変わっていないのと一緒だ。例えそれで1位が5位に落ち、自分が34位に上がれたとしても、1位にしか価値を認めないという前提の下では、それには何の意味もない。

すなわち、ゲーム終盤に1位を差しきるための最後の追い上げには、45位のプレイヤーは参加する意味がないことになる。

ところが、それを不満に思う人もいるようだ。1位に対して攻撃を仕掛けるのはプレイヤーの義務だとでも思っている人がいる。私から見るとこの考え方は、2位の人が自分が勝ちたいためにわがままを言っているだけにしか見えない。

もし本当に45位の人にも包囲網に参加してほしいと願うなら、その人達が1位争いに関われるような条件を提示しなければならない。そういう条件が提示できるなら、確かに45位の人たちも快く参戦するだろう。

順位は高い方がいいとすれば


次はBタイプ。順位は高ければ高いほどいいという場合はどうなるのか。同じような条件で考えてみよう。

最終盤、1位を追い落とすための戦いに、23位はどのくらい力を合わせるべきだろうか? いや、そもそも1位を追い落とそうとするべきだろうか?

Aタイプの場合は、1位にしか意味がなかったため、必然的に2位のプレイヤーは1位に攻撃を仕掛けざるを得なかった。自分から仕掛けなければ1位は動かず、2位でも5位でも一緒なのだから。

だが今度は違う。戦いを挑めば負ける可能性がある。負ければ、2位から落ちてしまうかも知れない。自分から仕掛けなければ2位を維持できるのに、仕掛けたがために3位、4位と順位を落とす可能性がある。

となれば、1位をあきらめて2位を守り抜くのも立派な戦略である。

また、3位のプレイヤーの選択肢も増えている。Aタイプであれば、23位あたりは手を合わせて1位を追い落とそうとするものだ。3位あたりまでは2位を差しきって、1位を奪えることも多いから。

しかしながら、Bタイプの場合、1位は3位に対してこんな交渉を持ちかけることも出来る。「私と手を組んで2位を攻撃しないか。そうすれば私の1位は確実だが、君も2位に順位を上げることが出来るだろう」と。

3位にしてみれば、2位と組んで1位と戦い、敗北して順位を落とす危険を侵すより、かなりの高確率で2位を獲得できる方が得かも知れない。どちらのケースでも自分は2位になる可能性が高く、1位のプレイヤーが誰だろうと関係なく、どうせ組むなら1位と組んだ方が勝算は高いのだから。

また、Aタイプでは蚊帳の外に置かれ、最終盤の決戦に関わる意味が薄かった45位のプレイヤーの重要さも増してくる。全員で1位を追い落とせば45位から順位を一つあげられるかも知れない。1位と組んで2位や3位を攻め滅ぼせれば、それでもやはり順位を一つくらいはあげられるだろう。

このようにしてみると、Bタイプの方が交渉の幅が広く複雑で、最後まで虚実入り乱れた駆け引きが必要になるように思われる。

どちらが望ましいか


次の問題は、ゲームとしてはどちらの価値判断の方が望ましいのかだ。

単純さではAタイプが勝っている。一人の勝者と、他全員の敗者という図式の方が、勝ち負けははっきりしている。それだけにゲーム的で、最後は捨て身の大攻勢が発生することは確実だ。現実世界の国家運営では絶対にやらないようなギャンブルも、ゲームの勝利のためには仕方がない。

一方でBタイプは、必ずしも最後に自暴自棄の大決戦を必要とはしない。現在の順位に満足し、そのままゲーム終了を受け入れる戦略もある。つまり何事もなく、平和なままにゲームが終了する可能性が、Aタイプより遙かに高くなる。

この二つを比較し、どちらを望むかは、好みの問題だろうと思う。Aタイプの方が最後の盛り上がりが保証され、ダイナミックでエキサイティングで楽しいと感じる人もいるだろう。Bタイプの方がリアルな交渉を必要とされ、落ち着いた戦略が通用する方が楽しいと感じる人もいるだろう。

私もここ数年、ときどきCiv5EU4のマルチプレイをするが、この辺りについて他のプレイヤーと話し合ったことはない。ほとんどの場合、勝敗がつく前に時間切れで解散してしまうので、あまり真剣に勝利条件を考えても仕方がないからだ。

どちらかというと私達はBタイプに近い考え方の人が集まっているようには思う。ただ、世の中にはAタイプの人たちもいるので、その人達と一緒にやると、齟齬があるかも知れない。

たぶん、どちらのタイプでもかまわないのだろうと思う。それぞれに利点と欠点がある。大切なことは、あらかじめどちらの形式で勝利判断をするかを決めておくこと。一部のプレイヤーはAタイプのつもりでプレイし、一部のプレイヤーはBタイプのつもりとかになると、それはきっと根本的な部分ですれ違いが生じ、誰も楽しめないプレイになりやすいのではないかと思う。



1 件のコメント:

  1. 面白い内容でした。
    私もciv5の長期マルチをしたことがありますがBタイプで行動をしていました。
    交渉や外交がしたくて長期マルチをしていたので自分はBタイプの人間だったと思います。
    マルチの募集をするときはAタイプでゲームを進めるのかBタイプで進めるのかを事前に公表してマルチプレイをした方がいいかもしれません。

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