2018年1月4日木曜日

戦車と突撃砲、駆逐戦車の違い。どうして突撃砲は砲兵科所属なのか

戦車というのはゲームではおなじみだ。私も続けているWorld of Tanksなんかも戦車で戦うゲームだし、大戦略やらHearts of Ironなどでも戦車が出てくる。

特にドイツ軍の戦車は個性的で、ロマンにあふれている。第二次世界大戦期におけるドイツの政治的意味合いに否定的な人間でも、ドイツ戦車には好奇心をくすぐられたりするものだ。

そのドイツ軍の戦車の中に、突撃砲というカテゴリーがある。いや、厳密には突撃砲は戦車ではないのだが、似たような扱われ方をした。

戦車と駆逐戦車の違いはなんなのか。それらと突撃砲の違いはなんなのかということが時に問題になる。今回は、突撃砲が砲兵科に所属している理由について語ってみよう。

とりあえず、簡単な定義から


私はそこまでミリタリーマニアではないため、完全に正確には把握していない。おそらくは、当時の戦車の厳密な分類定義はないのではないだろうかという気もする。

さて、戦車とはどういうものか?

確かグデーリアンが『電撃戦』で書いていたところによれば、戦車は回転式の砲塔を持たねばならない。それ故に、多くの駆逐戦車や突撃砲は戦車には分類できない。それらは砲塔を持たないからだ。

回転砲塔というのは複雑な仕組みになっているらしい。そのため、砲塔を回転させようとすると、装甲は薄くなるし、搭載できる砲は小型化されるし、生産コストは上がるしと、デメリットも多い。だから、砲塔は回転しなくてもいいから、正面戦闘力を上げたいという発想でできたのが、駆逐戦車だ。

駆逐戦車という呼び名が一般的のように感じてはいるが、これもいくつか別な名前で呼ばれることがある。戦車駆逐車、対戦車自走砲、自走対戦車砲など。

初期の駆逐戦車というのは、まさしく対戦車砲を搭載した車輌、程度の意味合いしかなかった。農業用トラクターを改良して、対戦車砲乗っけてみました、みたいなのがある。機動力のある対戦車砲なら何でもよかったのだろう。

しかし対戦車戦闘が本格化すると、もうちょっと防御力の高い駆逐戦車が開発された。このタイプのものになると、突撃砲と性能的には区別が付かなくなる。突撃砲もまた防御力が高く、砲塔を持たない車輌であり、だんだんと対戦車火力も身につけていったからだ。

それ故に、駆逐戦車と突撃砲は本質的に同じものであり、装甲科所属のものが駆逐戦車、砲兵科所属のものが突撃砲と説明されたりもする。が、さすがにそこまで単純ではないらしい。

突撃砲の成り立ち


これから書くことは、大部分を記憶に頼っている。いつどこで読んだのか忘れてしまっている、曖昧な記憶だ。だが、読んだことがあるのは間違いない。その情報の正確さまでは保証できないが。

突撃砲は、歩兵を支援するために開発された。歩兵が塹壕に潜んだ歩兵を攻撃する場合、砲兵支援が行われる。攻撃側のドイツ軍歩兵は、おそらく最初は匍匐前進などをして、ゆっくりと接近していく。

その間、防御側の歩兵に機銃などを撃たせるわけにはいかない。いくら隠れて進んでも、限度がある。だから、どこか遠くに配置されている砲兵部隊が間接照準で砲撃を行う。守備隊が有効な防御行動を取れないように、頭を押さえつけるわけだ。

しかしそれは、塹壕線の150メートル手前で打ち切られる。たしか当時のドイツ軍の砲兵は105mm榴弾砲が主力だったと思うが、それでも150メートルくらいは照準からずれることがあるらしい。味方の歩兵を誤射しないために、砲撃を打ち切らざるを得ない。

ところが訓練された兵士というのは、砲撃がやんでからおよそ10秒間で戦闘に復帰できるそうだ。攻撃側の歩兵は、砲兵支援が止まってからは立ち上がり、全力ダッシュで塹壕につっこむ。所要時間は約30秒だとか。

すると、空白の20秒間が生まれる。突撃する歩兵はどうしても20秒間の射撃に晒されねばならない。この時間に受ける損害が馬鹿にならなかったらしい。そこで、その空白を埋めるために生まれたのが突撃砲というわけだ。

遠くから、間接照準射撃で撃つから150メートルも着弾がずれる。じゃあ、直接照準で撃てばいいんじゃないか? というわけで、敵防御陣地の対戦車砲の一撃に耐えられる前面装甲を持ち、直接照準で榴弾を撃つ、突撃砲が開発された。

初期の突撃砲は、このように砲兵支援の代替兵器だったので、当然運用は砲兵科が担当した。それ故に、突撃砲は砲兵科所属とされるわけだ。

が、性能や運用が、駆逐戦車と同じだったわけではない。最終的には違いはなくなっていったのかも知れないが、成り立ちにははっきりとした違いがある。

突撃砲が対戦車戦闘用に調整されたのは、G型だっただろうか。4号戦車のF2型が長砲身になるちょっと前のことだと思うんだけども、G型から突撃砲も75mm砲を積んだ。

直接戦闘力なら、突撃砲の方が強かった。砲が一緒なら貫通力も一緒。突撃砲は背が低くて被弾面積は小さいし、正面装甲も厚い。Steel Panthers World at Warでは4号戦車は使う気がしなかったが、突撃砲は愛用していた。まぁ、ティーガー先生はやっぱり最強だったのだが。



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