2017年9月13日水曜日

クラウドソーシングにおけるライターの報酬安すぎ問題について(1)

クラウドソーシングの闇は深い。どのくらい深いのかは分からないが、そのうちの一つがDeNAのキュレーション問題として露呈した。

が、クラウドソーシングの闇はそれ一つでもないようだ。たとえば、ライターの報酬が安すぎると言うことはそこかしこで取り上げられている。しかし、こっちについては私はあまり問題にしていない。別に、これはこれで、と思っている。

というわけで、一年ちょっとクラウドソーシングでライティングをしてみた人間として、この問題を扱ってみたい。

クラウドソーシングにおける、ライティング案件の報酬事情


当然のことだが、私はクラウドソーシングのことを何でも知っている事情通などではない。ランサーズで一年間実体験をしたり、すこしばかり調べ物をしてみたり、と言う範囲で書くことになる。

さて、私の一年間の経験量だが、それほど多くはない。およそ15ヶ月での報酬総額が22万円なので、一ヶ月あたりにすると15千円程度になる。ただしこれは手取りではないので、私がもらった額はもうちょっと少ない。

が、この程度のゆったりペースですらも、ランサーズのほかのライターさんの実績と比較する限りは、私はだいぶやっている方になる。多くの人は、登録はしてみたものの、ほとんど活動していない感じだ。

そういう私が見てきた限りだと、ランサーズでのライティング案件は、確かに巷で言われている通り、報酬が安い。時給換算するとどこの都道府県であれ最低賃金を下回りそうではある。報酬の相場事情については、ランサーズ以外のクラウドソーシングでもそれほど違いはないようだ。

ライター報酬については、よく1文字あたりいくら、という書き方をされる。ランサーズだと、だいたい1文字あたり0.05円から1円の範囲に収まっているように見える。0.05円というのは、それこそほとんど何でもいいみたいな、最小限規約違反をせずに文字数さえ満たしてくれればおkみたいな案件になる。

主流となるのは0.2円から0.5円くらいだろうか。1000字とか2000字というしょっちゅう見かける依頼だと、だいたいこのくらいの報酬設定が多い。

実際私が最初に受けた仕事は0.3円だったし、一年間継続している案件もそのくらいだった。1000字の場合内容にもよるが、調べながら書かないといけないものだと、1時間に2記事書くのは疲れそうではある。不可能ではないが、安定して2記事書くのはちょっとつらい。でもま、計算を楽にするため、2記事は書けるとしよう。

それで時給が600円。うん。最低賃金稼ぐのも結構大変と言うことはおわかりいただけるだろう。

すると、比較対象として知りたくなるのは、クラウドソーシング以外のライティングの報酬はいかほどなのか、ということ。

クラウドソーシングでの報酬が安すぎるという主張の下では、だいたい1文字あたり3円以上、10円、15円などの仕事もあると語られる。私はあまりその手のことに詳しくないので、実際どのくらいの報酬で、どのくらいの需要があるのかは分からない。

でもどうやら、もっとずっと報酬の高いライティングの仕事があるというのは事実のようだ。というわけで、クラウドソーシングの仕事ももっと報酬を高くするべきだ、とか、そういう意見が出てくる。

低額報酬の仕事依頼を禁止したらどうなるか


さて、そろそろ本題に入ろう。クラウドソーシングのライター報酬が安すぎるから制度改革によって規制しようだとか、そういう安い仕事は受けないようにした方がいいとか、そういう主張に私は賛同していない。

仮に、低額報酬の仕事を何かしらの方法によって規制したとする。うまくそれだけ規制するような方法があるのかどうかすら定かではないが、あったとしよう。うまく規制できたことにする。

そのとき、じゃあ今までと同じ内容の仕事に対して、より高額の報酬が提示されるのかと言ったら、んなはずあるか、と言いたくなる。その結果どうなるか、私も正確には分からない。だが、それでも分かることは、今まで100円で注文していた仕事を、そのままの内容で1000円出すようにする、なんてことにはなるわけがない。

一番考えられる展開は、依頼そのものがなくなることだ。「それじゃあ儲けが出せないから、もう外注できない」ということになり、依頼そのものが減少すると考えるのが自然だろう。ちなみにこの減少は、ライティングにとどまらない。

外注による運営件数が減る以上、運営のために必要となるwebデザインなどの需要も一緒に低下していくだろう。

あるいは仕事の内容が変化する可能性もある。抱き合わせ販売ならぬ、抱き合わせ購入だ。報酬を値上げする代わりに、依頼する仕事の内容を増やすかも知れない。これでは、時給換算した場合の報酬は変化していないことになる。

まとまった受注はできるが、逆に言えば、負担にならない分量だけ仕事をすることができなくなり、不便とも言える。

低額報酬の依頼を規制したとしても、それで直ちにライターが望んでいるような、お金儲けがしやすい状況になるなどと言うことは、とても考えられない。


次:クラウドソーシングにおけるライターの報酬安すぎ問題について(2)


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