2017年9月17日日曜日

名前しか連呼できない選挙カーの陰謀。誰が得をするのか

選挙シーズンになると、周辺を走り回り、騒音という公害をまき散らす害悪。選挙のためならばある程度我慢するという人でも、ただ候補者の名前を連呼するだけでは、いらだちが募るばかりだろう。

今回の記事は、陰謀論とも言える。私は基本的に陰謀論などというものには耳を貸さない方だが、時にこのようなことも考えてしまう。あの選挙カーは確かに、候補者を当選させるために役立っているのではないかと。

どうしてそうなるのか、語ってみよう。

あのクソうるさい連中は何のためにあんなことをしているのか


選挙カーで候補者の名前しか叫び続けられないことには、法律的な理由があるようだ。選挙運動に対する制約上、ああいうことしかできない。

しかし、名前を連呼することに意味があるとは思えない。あんなことをしていたらむしろ得票数を減らすのではないかと思ってしまう。だって、誰だってあんな迷惑行為に晒されたら、お前には絶対入れてやんね、って思うだろう。

この考え方は、たぶん途中までは正しい。そういう傾向にはあると思う。だが、まだ少し思慮が足りない。もう一歩進めて考えてみる。

もし候補者の多くが同じ事をしていたらどうなるだろう? 市議会議員選挙や県議会議員選挙になると、立候補者が10人とかになる。それらの人々が同じように名前を連呼していたら、誰がそういう活動をしているか、覚えきれるだろうか?

仮に迷惑行為をしていない候補者がいたとしても、その人の名前が割り出せるだろうか?

自然な発想としては、「名前しか連呼できない奴には投票しない」と思うタイプの人は、そういう状況だと投票に行くこと自体をやめてしまうのではないか。つまり、言い換えれば、連呼カーには投票率を引き下げる効果があることになる。

さて?

投票率が低いとどうなる? そのとき、得をする人はいないか?

いる。組織票を持つ人がそうだ。既得権益から票が期待できる人がそうだ。彼らにとって、投票率が下がれば下がるほど、自分の当選率が上がることになる。

ということはだ。もしかすると、その人々は選挙に嫌なイメージを持たせ、投票に行こうという気をなくさせるために、わざとみんなで嫌がらせをし、こんな奴らばかりの選挙なんか参加しない、という方に誘導しているんじゃないか。

だとすれば、彼らの行為はかなりな程度に成功しているだろう。多くの人は政治を任せたい人がいないから、という理由で選挙に行かない。誰にも政治を任せないための、権力分散のための投票戦略などは一般には広まっていない。

かくして投票率は無事に引き下げられ、組織票を持つ人たちが当選できる。

連呼カーを走らせなかった人の敗北


連呼カーを走らせる候補者が嫌われることを逆手にとり、「私は連呼カーを走らせません」と言う人が立候補したことがある。落選した。

そのことから連呼カーは得票上、有益な効果がある、と分析していた。やっぱり同じ事をしないと勝てないんだ、という結論だった。

私は違うと思っている。私の予想が正しければ、連呼カーを走らせなかったから負けたのではない。ほかの候補者、固定票を持つ人たちが連呼カーを走らせ、投票率を引き下げたから負けたのだ。有権者は、いちいち誰が連呼カーを走らせていないのかという情報を確認するほど、マメじゃないのだから。

だから私としては、一連の発想の延長として、選挙促進カーを走らせたら新候補者の当選率が上がると予想している。

「私に一票入れてください! お願いします!」ではない。

「皆さん次の選挙では、投票に行ってください。皆さんが投票に行かない、投票率が低い、だから固定票、組織票を持つ人たちがずっと当選し続けてしまうのです。自分の名前を連呼することしかできない人々のせいで、皆さんは投票へ行く気がなくなってしまいます。皆さんが投票に行かないように、自分の名前を叫び続けるのです。組織票を打倒しましょう。そのためには、投票に行きましょう」

確か、投票を呼びかける行為は選挙運動には含まれなかったはずだ。だから、多分問題ないだろう。

でも本当にそうなのか?


しかし、こんな陰謀論を信じるべきだろうか? 私自身迷っている。もしこれが事実だとすれば、このことは熟練の候補者しか心得ていないことだと思う。

最初にこういうやり方を始めた連中は分かってやっていたかも知れない。だが、後に続いた人たちは、周りがやっているからまねをしているだけで、謀略としてやっているわけではないんじゃないか。

これはあくまでも、投票数における固定票の割合を高める作戦だ。固定票を持たない候補者がやっても意味がない。意味がないどころか当選確率を下げてしまう。

あくまでも固定票のリードで勝っただけなのを、連呼カーの効力で勝ったように見せることで、新候補者にもまねをさせ、投票率を下げる手伝いをさせる。そこまでの知謀を持つ人間でなければ始められない。


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