2017年9月24日日曜日

ニートが働くと失業率が低下するからくり

世の中ではニートは目の敵にされている。気持ちは分からないではない。別に、私を労れとは言わない。

だが、ニートのせいで失業率が下がらないと言っている人たちは目を覚ました方がいい。別に、ニートが働いたからといって失業率は変わらない。

いや、実は確かに失業率が下がるんだが、それはちょっと間接的な意味合いになる。

ニートと失業者を分けて考えてみよう


無職の人間を二種類に分けよう。ニートと、それ以外の失業者だ。

ここではニートを「働く気のない無職」として扱い、失業者を「働き口の見つからない無職」とする。

さて、「ニートのせいで失業率が下がらない」という発言は、失業者を除外している。失業者はもう仕事を探しているけど、ニートは探していないからそうなるんだ、と単純に考えている人も多いだろう。だが、それは違う。

求人の総量は有限だ。ニートが一人働くということは、求人が一人分減るということでもある。誰かが仕事を得れば、誰かが仕事を得られなくなる。限られたパイの奪い合いでしかない。

だとすれば、ニートが働いても、失業率は変わらない。他の誰かが働けなくなるだけなのだから。

いや、「ニートは仕事をえり好みするし、すぐに辞めてしまう」という非難もあるだろう。だが、これも言いがかりだ。それはその他の失業者でも一緒だ。ニートだけが特別ではない。そうでないなら、ニート以外の失業者が0になっていなければおかしい。

そういう主張であれば、「ニートは」ではなくて「無職は」と言うべきだろう。

では、ニートが働いても失業率に変化はないのか?


変化がないことはない。ただし、あまり人道的ではない。

仮に、ニート全員が仕事を探し始めたとしよう。実際に仕事を見つけられるのはその一部だろうが、全員が不採用続きと言うことにはならないはずだ。

そうすると、求人の総数が減ってしまうことになる。失業者達の受け入れ先が減るだろう。

ニートというのは、今現在ニートであることができる人間なのは当然だろう。そうでないなら、今ニートをしているはずがない。

だが、失業者にはそんな余裕はないかも知れない。仕事が見つからない失業者は、切羽詰まって4つの選択肢のうちをどれか選ぶことになる。

1,ホームレスになる
2,生活保護を受ける
3,犯罪者になる
4,自殺する

失業率というのは、労働力人口を分母として、失業者数を分子としている。失業者がこの世を去った場合、失業者数と労働力人口が双方マイナス1される。

この場合、条件的に労働力人口>失業者数が満たされるので、失業者数における1の方が、割合的に大きな影響力がある。

よって、分母と分子が1ずつ減ると、割合としては低下することになるので、失業率は低下する。

9/100 = 0.09
8/99 = 0.0808
1/92 = 0.0108
0/91 = 0

あるいは、失業率を1-就業率で考えた方がイメージしやすいかも知れない。

就業率とは、就業者数を労働力人口で割ったものだ。失業者が一人減ると、就業者数を維持したまま、労働力人口が減る。分子が一定の状態で分母が減れば、割合は増加する。つまり、失業者が消えてくれれば、就業率が上がるわけだ。

そういうわけだから、ニートが働けば働くほど、ニートになれる余裕のない失業者が減っていくだろう。そういう意味では、確かにニートが働けば失業率は下がるとも言える。

あまり、いい下げ方だとは思わないが。

いやまぁ、人によっては失業者が死ぬのはいいことだと思ってるかも知れないので、その人達にしてみれば、やっぱりどんどんニートを働かせるべきだというのかも。

例外もある


上述の話は、一般的な業務の場合だ。他の多くの人ができそうな仕事の場合は、誰かが働けば他の人が働けなくなる図式になるが、ほとんどの人では代わりが務まらないような仕事の場合は、事情が異なる。

そういう仕事をニートが始めてしまったからといって、それで他の失業者の就業可能性が失われるわけではない。もともと無理なのだから。

よって特殊な仕事ができるニートの場合は、働かせた方が失業率が下がるようなことはある。

また、別な考え方として、ニートは無能という前提に立つ考え方もある。その場合、無能な人間は同じ仕事をするにも人数が必要になる。よって、ニートが働けば多くの人間が必要とされるので、失業率が低下するという理屈もある。

ただしこの場合、突き詰めると「優秀な人間が働くと失業率が上がる」と言ってるわけなのだから、あまりまじめに聞く必要はないだろう。

なお、私は別にこういう理由でニートをしているわけではない。

「自分が働かないことで、他の誰かが仕事を得られる。そういうことに自分は幸せを感じるんだ」

と言ってるわけではないので、そこは誤解のないように。


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