2017年9月25日月曜日

訓練の効率化。ゲーム上達のための基本方針(3)

ゲームで上達するにはどういう方向性がいいのか、と言う話の第3回。

今回は、他の人のプレイを参考にするときの心構えについて語ってみる。

手本はうまければうまいほどいい


今回の話も、やはり将棋であれDOTAであれWOTであれ、考え方は一緒になる。

初心者がプロを参考にしても、そのほとんどは理解できない。理解できたとしても、同じ事はできない。プロは様々な技術を持っているからこそ、そういうことができる。同じ技術を持たない人間がまねをしても、あっさり負けたりする。

だから、もう少し自分と近いレベルの人を参考にするという考え方もある。その方が理解しやすいし、まねもしやすいというわけだ。

だが、私はこれをお勧めしない。例えばWOTで、私を手本にしたいという人がいたら、やめた方がいいと説得する。

私は平均レベルは超えているから、ある程度多くの人よりはうまく見えるかも知れない。しかし、私を参考にしても得るものは少ない。

なぜならば、私のプレイを見ても、どうしてうまくいったのか、どうしてうまくいかなかったのか、理由が分からないだろう。だって、私自身仕組みを理解していないもの。

試行錯誤繰り返した結果、だいたいいつもこんな感じでやろうという形はできているけども、同じようにやっているつもりでも成功したり失敗したりする。

平均よりうまいレベルの人間なんて、基本的にその程度。その程度の人を参考にしても、どういうときにどうすればいいのかは分からない。

初心者に必要なのは、結果と原因のつながりだ。どういうときに何をどうすると、どういうことになるのか。それを吸収していかなければいけない。

同じようなときに、同じようなことをしているつもりでも、いろんな結果が出てしまうプレイを見ても、そういうことは学べない。

だから、できるだけうまい人のプレイを参考にした方がいい。うまい人なら常に同じ結果を出せるかといえばそれは違う。だが、半端なレベルの人間より、ずっと理屈として納得できるような動きをしているだろう。

高レベルのプレイヤーの方が、どんなゲームであっても、勝つべくして勝ち、負けるべくして負ける傾向にある。結果と、そこに至る過程の因果関係が明確な方が、学習効率が高いのは間違いない。

動画を参考にするのはやめた方がいい


同じ理屈で、プレイ動画を手本にするのもやめた方がいい。

ここでプレイ動画と呼んでいるのは、生放送ではない動画のことだ。もちろん、生放送を録画したものを動画にしたものならば問題ない。

なぜかといえば、動画などというものは、うまくいったプレイだけを取り出して作ることができる。そんなものは何の参考にもならない。

うまくいったプレイを取り出して参考にできるなら、自分のプレイを録画して(WoTDOTAであれば、自動的にリプレイデータを残すこともできる)、それを参考にしたっていいだろう。

だが、実際に活躍してみれば分かることだが、たまたまうまくいった回などというのは、自分実力の賜物ではない。たまたま運がよかったとか、流れが向いていたとか、相手がへぼだったとかだ。そんなものを手本にしても、再現性は低いだろう。

生放送ならその心配はない。

プレイの一部始終を見せてくれているのだから、うまくいくこともあれば失敗することもある。基本的な戦術をくみ取ることもできるし、その戦法がどういう結果に繋がりやすいのかも、複数のサンプルから判断できる。

手本から学ぶことは、その人の基本的な方針


初心者が上級者のプレイから学ぶべき事は、基本的な方針だ。操作の癖や、仕掛けのタイミングの癖など。その人のプレイを見ていれば、何度も何度も出てくる当たり前の行動。

それを自分と比べてみて、どういう理由でそういう癖を身につけたのかと考えてみる。その理由の有効性に納得ができたら、積極的に取り入れる。こうして、うまい人の癖が自分のものになり、自分も上達できることになる。

とはいえ、その癖にどんな意味があるのかも分かりにくいものだ。きっとこうだろうと思っても、その通りである保証はない。

それでもひとまずは仮説を立てて、実践してみる。うまくいかなかったらまた考え直す。あるいは、理由は正しくても、実践のためには別な技術が必要ということが分かるかも知れない。

そしたら、身につけられそうならその技術を練習し、難しすぎて無理そうならその動きは自分には無理だとあきらめてもいい。

できない動きを知ることは、別のできる動きを見つけるための役に立つ。人には得手不得手があるのだから、苦手な部分で勝負せず、得意な戦法を見つけるまで探してもいい。

実際のところ、お手本から学ぶことにどれだけの効果があるかという疑問もあるかも知れない。

効果はあるはずだ。

WoTの話だが、500戦近くして勝率45%程度だったIS-3が、うまい人のプレイを参考にし始めたとたん、勝率が52%まで急上昇した。動画を見始めてからに限定すると、勝率が60%に達している。

重戦車の基本方針、攻撃されることを恐れない気持ちや、しっかりと狙いを付けることなど、当たり前も当たり前のことを学んだ。

きっとどんなゲームでも、有効な勉強法だと思う。




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