2017年9月29日金曜日

仕事を辞めたときの話(2)

私がいくつか経験してきた、仕事を辞めたときの話の続きだ。前回の記事は仕事を辞めたときの話(1)を読んでほしい。

自動車部品工場での仕事


このときの仕事は派遣だった。その派遣会社に登録してから、あまり経っていない頃だったと思う。日雇い派遣なんだが、三日くらいしか働いてなかったような気がする。

勤務日数の少ない奴は、常勤をさせた方が売り上げが上がると言うことかも知れない。

仕事の内容がちょっと特殊で、理科の実験とかをした。基本的にはデータの収集と整理であり、もしかすると前職がパソコンの店だったから、私もパソコンが使えると思ったのかも知れない。そういうものじゃないよとは言ったはずなのだが。

まぁ、ビジュアルベーシックでテキストゲームを作ったりしたことはあったし、普通の人よりはパソコンを使えるのは間違いではないから、別に困りはしなかったが。

作業は3人で行った。チームリーダーとなる年長者一人と、外国本社との連絡を担当する女の人一人がいた。チームリーダー役の人の役職を聞いてはいなかったが、ここでは班長とでも呼ぶことにしよう。

この話の一部は部下が上司に従うのは当たり前だ(1)でも書いたので、そちらも読んでほしい。

一言で言えば班長は無能だった。何のためのデータを集めているのか。そのデータはどういうものなのか。それを把握しているのは私一人だった。連絡役の人は、そもそもそれを把握する必要がない。

さらに言えば、我々は前任者から仕事を引き継いだわけだが、前任者も全体を理解していなかった。調べるべき品目の絶対数も未確認という始末だ。

リストはできあがっていたのだが、あっちとこっちで重複することがあるため、リストの行数だけ見ても分からない。結局、私がエクセルのマクロを組んで、ユニークIDの数を確認することになった。

ラインの管理をする手が足りないからそっちもやってくれと言われ、ラインでの生産品のエラー発生状況のデータのとりまとめも与えられ、やめる前日も、なにか新しい仕事をやることになったような記憶がある。

たぶん、私を無能だとは思わなかったのだろう。分からないけどね。彼らは、無能な人間の扱い方を知らなそうだ。

だから私はやめるときに教えてあげた。私が最後の出勤日で、データの整理を終えたあと、上司に社内メールを送った。その日は出張で不在にしていたので、それを見るのは翌朝だろうと踏んだ。

すぐに見る可能性もあったが、別に、私の行動に変更はない。

「無能な人間に仕事を与える場合は、能力を必要としない形で与えねばならない」、そう教えてあげた。

確かに私は仕事をすぐに辞めてしまったわけだが、仕事を放棄したわけではない。私がやめることは、仕事を無事に完了するための最善手だったと信じている。

その時期に私がもらっていたのは月に16万円ちょっとだと思う。正確には覚えていない。が、日雇い派遣としてみれば、これはたぶん多い方だ。毎日12時間の残業があったからではあるが。

派遣先会社が派遣会社に払っている額は、派遣社員がもらっている額の2倍程度と聞いたことがある。およそ、月30万円ほどだろう。

すると、私を働かせるためのコストは年に360万円だ。私がやっていた仕事は、私が全権を与えられていても、少なくとも半年、一年くらいは予定に入っていたと思う。つまり私がやめることで、最低360万円の経費が浮くことになる。

だから、メールに「私は仕事を辞めるので、私に払っている給料で外注してくれ」と書いた。

実はそのときの仕事というのは、専門会社に任せればもっと簡単に進められるものだった。それをなんとかコスト削減してすませようとするから難しくなる。難しいことをしようとするから、能力が必要になる。

難しいことをしないなら、無能でもできる。

よって私としては、やる気のない上司の下で働くという不満を解消すると共に、与えられた仕事も完遂するという、二つの意味でやめることにしたわけだ。

実を言うと、班長は連絡役の人に対しても失礼があった。そういう使えない人間一人を、年を取っていると言うだけで甘やかすことが、どれだけの損失になるかを教えてやろうという気持ちもあったので、三つの意味かも知れない。

しかし最後にミスをした


が、ちょっとやめる準備が急だったためか、最後の出勤日はいろいろと作業が多かった。

私が預かり、私しか把握していないデータにどういう意味があり、どのデータをどう扱えばいいかなどのちょっとしたメモを残さねばならなかったし、業務上連絡を取り合っていた関係各所に対して、担当の交代を連絡しなければならなかった。

そのため、やろうと思っていた大事なことを忘れてしまった。

私はその日、出張先の上司に電話をかけて、翌日の休暇を申請しようと思っていた。その日雇い派遣では、翌日分の契約はお昼頃に自動的に結ばれる。つまり、翌日分の契約は結ばれてしまうんだ。

だから、私は翌日を休日にしてもらった上で、翌朝に派遣会社の登録を抹消することで、その会社との契約関係を処理するつもりでいた。

しかし休日をもらい損ねてしまったために、私は人生で初めての、仕事の無断欠勤をしてしまった。これはいたく反省している。

学校ならいくらでも休んできたが、仕事での無断欠勤はそれ一度だけだ。世間ではばっくれるなどと言うことが横行しているようだが、私はそんなことをしたいと思ったこともない。

とはいえ、事情が事情だし、前日にメールでやめることを知らせてあるし、実際上の業務には支障はないだろう。

なお、もう一つミスがあった。実は関係各所への連絡で、一カ所忘れていた。やめたあとふと思い出したので、上司の社内メアド宛てに連絡を入れた。




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