2017年10月17日火曜日

ゲームと攻撃性の関係。ゲームでは攻撃が優先されるのはなぜか(2)

ゲームでは攻撃偏重になりやすい。これはゲームというものの作りがそうになっているからな分けだが、その話の続きをしよう。

攻撃と防御は何が違うのか。どうして人は攻撃することを望むのか。


攻撃と防御の違い


攻撃は結果が分かりやすい。攻撃力が高ければ、敵を倒すことができる。倒れた敵は、もう攻撃してこない。攻撃は最大の防御である。だから、攻防一体の戦法として、攻撃重視が成立する。

防御にはそういったわかりやすさが欠けている。防御と言っても、それが絶対防御的な、一切ダメージを受けないとか言うはっきりしたものならば、誰でも活用するだろう。HPをあげれば無敵に近いほど成長するなら、HP重視で育てもするだろう。

しかし、そういった防御的パラ-メーターにはそれほどの効果は無い。HP100から150に上がっても、生存能力はよくて1.5倍。+50%の生存性がやっと。

場合によってはもっと悪い。敵の攻撃が一発200なら、耐久性に変化はない。一発75から99の時も、二発で倒れることに違いは無い。

防御力なども似たようなもので、耐えられる攻撃が12発増えるか増えないか、ということが多い。倒してしまえばはっきり解決するのに、数%から数十%の変化のために行動を消費するのはもったいない。

この微妙な、数十%という変化が若いときはぴんとこなかった。確実にもう一発を耐えられるようになるということの価値を、低く見積もっていた。その一発を耐えられなかったために回復が間に合わなかったり、逃げられなかったり、とどめの一撃を繰り出せなかったりするのに。

ただ、ゲームで攻撃偏重になるのは、ゲームのシステム的に仕方の無い場合も多い。作ってる方も、それが前提になっているような。ロマサガ2のラピッドストリームなどはその究極系で、先手必勝。5人全員行動して、敵を討ち漏らしたら死人が出る。

そういうバランスだったし、先手必勝が成立し、一番安定する戦法でもあった。

不安を解消するための攻撃


攻撃は問題の根本的解決になるが、防御というのは割合的な向上にすぎない。いくら防御力を高めても、攻撃は受け続けるのだから。

それと比べれば攻撃の発生源をつぶした方がわかりやすいのは当たり前。問題の本質を解決したいと思うならば攻撃が有効だ。

しかしこの発想は、実は恐怖に根ざしている。怖いから、怖さから逃れるために攻撃を欲している。問題の解決を先送りし、ずっと攻撃に晒される代わりに、決定的な敗北も避けるという戦法が有効である場合もある。

例えば、古代ローマにおける第二次ポエニ戦争がある。有名な、ハンニバルがローマを蹂躙したやつだ。

ローマ軍は三度、大きな会戦を挑んだ。国内に侵入したハンニバルを放置していては、安心できない。ローマの同盟国にも示しがつかないので、これを撃滅しようとした。しかし敗れた。カンネの会戦は現代でも士官学校の教材に使われるほどの、圧倒的戦果だった。

結局、ローマを救った戦法は、持久戦だった。ハンニバルには手を出さない。街が焼かれ人々が殺され、略奪されても、ハンニバルが率いる軍には手を出さない。勝てない代わりに負けもしない。そういう消極戦法で、ローマは生き延びた。

最終的には、スキピオが攻撃に出て決着したわけだが、ファビウスが守りを重視しなければ、ローマはそれ以前に滅んだかも知れない。

スキピオには勝算があった。今こそ攻撃の時という読みがあったのだろう。あれほどの英雄ならば、恐怖心から逃れるための攻撃性とは無縁でいられたかも知れない。だが、旧日本軍の攻撃性は疑問だ。

普通ならその状況は守備に徹するよね、という状況でも攻撃を仕掛ける。一地点での戦闘効率から見れば、防御側の方が有利なのに、それでも攻撃する。

歳を取るということは経験を積むということだ。「助からないと思っても助かっている」などというのは、将棋の中でも老獪な言葉だろう。

経験を積むと、攻撃を受けても大丈夫なラインが分かってくる。攻撃を受けることそのものを恐れる必要は無い。そうすると、攻撃を受けないという安心感のための攻撃は必要がなくなる。

ゲームで攻撃偏重になる理由の一つは、どのくらい攻撃を受けるのかを確信できるようになるまでに、時間がかかるからだろうと思う。

戦い慣れた敵ならば安心できるが、初めて見る敵は何をしてくるか分からない。だから早く倒して安全を確保したい。相手の行動パターンを覚えられるくらい何度も戦う頃には、レベルが上がって考えるまでもなく倒せるようになっている。

結局、防御が優先される場面はあまりない。

その上、ゲームとしても、防御を優先しなければならない場面を多くはできない。防御が有効な場面とは、膠着しやすい場面であって、ダイナミックさに欠ける。退屈なゲームだと感じられてしまう。

ゲームデザイン的にも、攻撃優先の方が楽しめる。

例外的なのは弾幕シューティングだろうか。あれは、ひたすらに敵の弾を回避するのを楽しむゲームだ。回避を続けていたら、いつの間にか敵が倒れてました、ということが多い。このように、防御をメインとしたゲームが成立すれば、プレイも必然的に防御優先にはなるだろう。




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