2017年10月3日火曜日

選挙権の使い方を知らない人たち

今朝のニュースで、今度の衆院選に対して積極的棄権を募る署名活動が報じられていた。好きでもない党に投票するのはばかばかしいから、署名を集めて議会に一言言ってやりたい、という趣旨らしい。

当然、そんなことをして何になるのかという指摘があるようなのだが、私も同感だ。それに何の意味があるのか、どういう有効性があるのか、さっぱり分からない。

人々はもっと、選挙権というものを有効に使えばいいのに、と思ってしまう。

選挙権とは、自分が望む政治に誘導するための小さな権利である


一般的によく言われることとして、「政治を任せたい人間がいないから投票しない」というのがある。別に、政治を任せたい人間にしか投票してはいけない決まりなどない。

誰にも政治を任せないために。権力分散のための投票戦略に書いたように、私は嫌々ながらに丹羽雄哉に投票したことがある。本当はあんな奴に投票したくないけど、それでも、私が望む政治の状態に近づけるには、そうする必要があったからだ。

人々がなぜ勝手に、任せたい人間にしか投票してはいけないと思い込んでいるのかは知らない。そう思い込ませておいた方が得な人間に、うまく誘導されたのかも知れない。

今回の署名活動の人も、

「わたしたちは、そんなに無理して、好きでもない候補者や党に貴重な一票を投じるべきなのでしょうか。そんな一票を投じること自体、茶番を演じる議員の掌に載っていることなのではないでしょうか」(Change.org

と好き嫌いで投票先を決めるものだと考えているようだ。選挙権というのは、そうやって使うものではない。

自分が望む政治に誘導するための権利なのだから、使わないのはもったいない。数千万票のうちの一つに過ぎない小さな権利だが、有権者全員が行使したら一気に議員の顔ぶれを変えられるような、強力な権利でもある。

名前しか連呼できない選挙カーの陰謀。誰が得をするのかでも書いたが、投票率が低ければ低いほど、固定票を持つ者達が得をする。棄権や白票は、固定票を支持するのと同じ意味があると言うことに、どれほどの人が気づいているのだろうか。

もともと棄権なんていくらでもいるのだから、今回に限って署名を集めて送り届けたところで、「あ、そう。それで?」で終わってしまう。これまでとの違いは署名の有無だけだ。

現在の政局はだいぶまとまってきたように思う


私は自民党の憲法草案に断固反対する立場なので、自民党を危険視している。このあたりは危険な自民党の憲法草案。緊急事態条項で選挙がなくなる(1)に書いた。

その意味では、もうすこし落ち着いた主張をしてくれるようになるのはありがたい。保守系の第二勢力が誕生し、それが自民党に併合されないでくれれば、自民党の方も支持率を維持するために妥協が必要になる。

当然、各案もすりあわせが必要になるため、今までのような好き勝手はしづらくなる。その点では動きが落ち着くことも考えられる。

また、野党の方もずいぶんすっきりした。民進党が分裂し、枝野が新党を率いる形になった。民進党の代表指名の時も、枝野は共産党を含め野党との連合に積極的だった。これならば、野党も強調して選挙戦に望めるだろう。

人々は、政治にNoを言うための選挙に否定的なようだが、二大政党制というのはそもそもそのためにある。今の政治に対する否定の意思表示として、野党に投票するというのは、当然の行為だ。それによって、与党に有権者の顔色をうかがい、あまりやり過ぎないようにしようという配慮を求められる。

そのときに、一つの選挙区に野党の候補者がたくさんいるのは望ましくない。それでは、Noを突きつけるために、誰に投票すればいいのか分からない。票が分かれてしまう。だから、野党の間で調整をし、立候補の区を分けるというのは大事なことだ。

それでこそ、反与党の人々の投票対象が一人に集約できる。

立憲民主党が健全な民主主義を望むというのなら


私は先日ツイッターで、枝野に自分の記事を読んでもらいたいと送った。が、多分そんな暇はないのだろう。

健全な民主主義のためには、公正な選挙が必要なのは当然のことだ。現在用意されている自民党の憲法草案は、その選挙を抹殺しかねない内容になっている。いい加減、そのことを指摘し、国民に知らせてほしいと思うのだが・・・また誰も触らずに過ぎてしまうのだろうか。

話題に欠ける現状、憲法改正についての追求は都合がいいだろうし、中でも選挙の重要性は、党是とした立憲主義、民主主義の根幹をなすものなのだから、野党側の使えるカードとしてはちょうどいいはずだ。

が、今のところまだそういう動きはない。ごたごたしてるからまだ動けないのかも知れないが、たぶん今回も動かないのだろう。

今までいくつかの新聞社や政党に知らせてきたが、それでも無視されるというのだから、人々が何を考えているのかは分からない。


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