2017年8月28日月曜日

24時間テレビはチャリティー番組として有益なのかどうか

チャリティー番組として銘打っておきながら、出演者に多額の報酬が払われているという24時間テレビ。それのどこがチャリティーなんだよというツッコミを受け続けている。

一方で、多額の寄付がされているのだから、立派なことをしているわけだし、ないよりいいんだからそこは評価してあげようよ、と言う意見もある。

が、この問題を解決する理屈として、それでは単純すぎるのでもう少し深く考えてみよう。

無限に寄付する人はいない


当たり前のことだが、際限なく寄付する人はいない。だいたいそれぞれの人に、このくらいなら寄付してもいいかな、というラインが存在している。

それは何カ所かの募金対象に分配するかも知れないし、一カ所にまとめて寄付するかも知れない。それは分からないが、いずれにしても総額はある範囲に収まる。

当然のことながら、あるところに寄付した人は、ほかのところには寄付しないか、寄付する額が減少するだろう。

ということはだ、24時間テレビで寄付をした人は、しなかった人と比べて、その他の場面で寄付をする額が減少することになる。よって、24時間テレビがチャリティーとして有益であるためには、これによって減少してしまう額が、24時間テレビの運営費用を下回らなければならない。

計算式としては次のようになる。

A 24時間テレビの運営費(出演者への報酬等含む)
B 24時間テレビでの寄付総額
C 24時間テレビがなかったとしても発生したはずの寄付総額

A < B - C

を満たすとき、24時間テレビにはチャリティー番組として、社会的に有益な活動をしていると言えるようになる。

A + C < B
C < B - A

も同じ意味になるので、これらを満たすのでもかまわない。

問題は、24時間テレビがなかったとしても発生したはずの寄付総額の求めようがないという事実だ。Cが求められないため、この計算式ではなんとも言えないことになってしまうのだが、いずれにせよ「24時間テレビを通して寄付が行われているのだから、24時間テレビには意義がある」といえるほど単純な問題ではないことは確かだろう。

We Are The World


とても有名な曲だから、知っている人も多いだろう。マイケル・ジャクソンを中心とした45人の歌手が作ったチャリティーソングがある。

このWe Are The Worldは動画投稿サイトなどでも大人気で、ものすごい視聴数を誇っている。wikipediaの解説によれば、この歌から上がった収益は、トレーナーやTシャツなどの関連グッズの分も含めて、アフリカの問題解決のために寄付された。

もちろんこれには、(ただし、制作者達の出演報酬を差し引いた分を)という注釈はつかない。

多くの人々の頭にあるチャリティーの形として、これは理想的だろう。あるいはむしろ、この姿を元に理想が作られているのかも知れない。

We Are The Worldと比べると、どうしても24時間テレビのチャリティー性は、うさんくさいものに映ってしまう。私自身はテレビをそもそも見ないので、もちろんこの番組も見ないのだが、見たことはある。

しかしちょっと記憶が曖昧なのだが、CMって出してなかったっけ? 普通にいつも通りスポンサー広告とか出していた気がするんだが、気のせいだろうか。似たような番組がほかにもあるから、そっちと混ざっている可能性はある。

ま、何にせよ、スポンサーがいようといまいと、お金は視聴者が出してくれる。最悪、寄付総額が運営費にさえ達してくれれば赤字はない。

寄付が増え、番組が人気になり、期待できる寄付総額が増えれば増えるほど、番組制作費として制作関係者に対する報酬を引き上げてもいい。誰にいくら払うのが適切かなんて、内部の人間にしか分からないのだから。

すると結局のところ、24時間テレビというのは番組制作費を企業からではなくて、視聴者から捻出するという違いがあるだけで、普通の番組とたいした違いはない。確かに寄付はするのだろうが、それは番組制作費を提供してもらうためのセールスコピーだ。

番組としては寄付をすることは、次の番組でも制作費を出資してもらうための営業実績だ。寄付をしたって、番組は損などしない。十分な報酬はすでに仲間内で分配している。来年もまたスポンサーになってもらえることの方が重要だろう。

この番組が有益なのか、それとも有害なのか、それは分からない。分からないから非難はしないが、商売の延長線上でしかチャリティーができないという民族性には失望する。

私は無償にこだわりはしない。有償ボランティアというものを高く評価している。だが、24時間テレビの出演者の報酬は、実費だとか生活の最低保障のための額を大きく超えている。これでは商売の延長とみるのも仕方がないだろう。

ま、これが日本人だ。

話は変わるが、私はWe Are The Worldではブルース・スプリングスティーンがお気に入りだ。あの心のこもった表情を見ると、なんとも言えない気持ちになる。


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